40代でセミリタイアするために必要な資産額(リタイア後の資産の推移をシミュレーションしてみた)
- シミュレーションの前提
- シミュレーションの目的
- 年金額と生活費の前提
- 投資と娯楽費の前提
- 投資先に何を選ぶ?
- 資産クラスは何を選ぶ?
- 資産配分する
- インデックスファンドを絞り込む
- シミュレーション結果
- まとめ
シミュレーションの前提
セミリタイア後の生活を楽しむため、投資、年金といった観点から、資産の推移をシミュレーションをしてみました。
シミュレーションの前提(概要)
- 45歳独身でセミリタイアし、92歳(男性の平均寿命82歳+10歳)まで生きる
- 年金は、増額される繰下げ受給を選択+付加年金 ⇒ 長生きリスクに対応
- 投資信託を20年以上かけて取崩し、50~70歳の娯楽費と、その後の老後資金を得る ⇒ 複利のメリットを得る
シミュレーションの目的
40代でセミリタイアし、50歳~70歳までを資産運用で得た資金で楽しみ、70歳以降は、繰り下げ受給で増額された年金をメインに安定的な生活をおくるために、どれくらいの初期資金が必要か、を計算することです。
将来のことは不確定ですが、シミュレーションをしてみれば、現状を知り、ある程度、将来への不安を軽減することができるので、より前向きにリタイア生活に移れると思います。
40代独身で、セミリタイアされる方の参考になれば幸いです。
年金額と生活費の前提
シミュレーションは、長生きリスクに対応するため、年金額が多くなる安全サイドの条件で行います。具体的には、次のように仮定します。
- 年金保険料は、リタイア後、免除せず全納し、かつ、付加年金にも加入する
- 年金受給は、増額される繰り下げ受給(70歳)を選択
- リタイア後(~69歳)は、月々、数万円程度(4万円を仮定)の収入がある
- インフレ率(0.1%)を設定し、それに連動し、生活費、年金額、収入が変化する
- 生活費:年120万円。年金の試算額(ねんきんネットなど):年140万円とする
- 将来の年金額は、生産年齢人口の減少により、試算額(ねんきんネットなど)から低下していく
①の前提は、もらえる年金額を増やして、安全サイドでシミュレーションを行うためです。付加年金は、国民年金の保険料に月々400円を追加するもので、2年間で元が取れ、お得です。
②の前提も、安全サイドでシミュレーションするためで、81歳を超えると、年金額の総額が、65歳受給の場合よりも多くなります。
③については、セミリタイアなので、短時間労働などで月々、数万円の収入があるものとします。
④については、インフレ率は、総務省統計局の消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合指数 前年比(1948年~最新年))のデータを用いて、過去20年間の平均値を計算し、0.1%と仮定します。
⑤については、固定費を見直して、月10万円の生活費。年金の試算額(140万円)は、厳し目の設定としています。
⑥については、具体的に次のような低下をしていくものと仮定します。
内閣府の平成29年版高齢社会白書(全体版)に載せられたグラフで、65歳以上人口を15~64歳人口で支える割合は、
2020年:2.0
2025年:1.9
2030年:1.9
2035年:1.7
2040年:1.5
2045年:1.4
2050年:1.4
2055年:1.4
2060年:1.4
2065年:1.3
と低下しています。2020年の2.0を100%として、下のようにパーセントを計算します。
2020年:2.0 ⇒ 100%
2025年:1.9 ⇒ 95%
2030年:1.9 ⇒ 95%
2035年:1.7 ⇒ 85%
2040年:1.5 ⇒ 75%
2045年:1.4 ⇒ 70%
2050年:1.4 ⇒ 70%
2055年:1.4 ⇒ 70%
2060年:1.4 ⇒ 70%
2065年:1.3 ⇒ 65%
年金の試算額(ねんきんネットなど)に、上のパーセントをかけ、更に、インフレ率に連動したものを年金受給額と考えます。
投資と娯楽費の前提
積立投資とは反対の「取り崩し投資」でも、複利のメリットを得ることはできます。このメリットを生かして、50歳~70歳までの娯楽費と老後資金を得ることができます。
投資や娯楽費に関しては、次のような仮定をします。
- 一括で投資信託に投資した後、20年以上かけて必要額を取り崩していく
- 投資先の資産配分は、債券の割合を高くし(60%以上)、リスクを抑える
- リターンが年4%程度となる資産配分をおこなう
- 娯楽費は、50歳~70歳までの20年間に合計1000万とする
①については、まず一括で投資し、そこから毎月必要額を取り崩していきます。取り崩す期間が長くなればなるほど、複利のメリットを生かす事ができ、また、リーマンショックのような金融危機の影響も小さくなります。
②については、45歳でもフルタイムの収入がないため、定年退職した60歳と同等と考え、リスクを抑えた資産配分を心がけます。債券の割合=年齢と言われているので、60%以上にします。
③については、②で債券の割合を高くしているので、4%程度に留めます。
④については、毎年、約50万の娯楽費とし、生活費とは別枠にします。
投資先に何を選ぶ?
ところで、シミュレーションで前提とした②、③(債券の割合が高く、リターンが4%程度になる)を満たす投資は、妥当なのでしょうか?
ここでは、初心者が始めやすいと言われる投資信託を選んで、実際のファンドを絞り込んでみます。
投資信託には、運用のスタイルにより、「インデックスファンド」と「アクティブファンド」がありますが、運用成績が高く、手数料が少ないと言われているインデックスファンドを選びます。
資産クラスは何を選ぶ?
下表のように、大きく分けて9種類のインデックスファンドがありますが、新興国リートは、信託報酬(ファンドを管理、運用するための手数料)が高いため投資対象から外すことにします。
資産クラスの選択
- 株式:将来的に人口が増加する新興国や、米国を中心とした先進国を選択
- 債券:為替リスクがなく、他の資産クラスと負の相関がある日本債券を選択
- リート:将来的に不動産価格の上昇が見込める先進国リートを選択
以上、4つの資産(先進国株式、新興国株式、日本債券、先進国リート)に20年以上に渡り長期分散投資することにします。
資産配分する
上記の4つの資産を、年率4%程度のリターンを得られるように資産配分します。これには、myINDEXというサイトの資産配分ツールを使うと便利です。詳しくは、次のサイトを御覧ください。
インデックス投資のことなら 『myINDEX』 わたしのインデックス
このツールを使うと、例えば、次のグラフのような配分で、4%以上のリターンになります。 日本債券は60%です。
インデックスファンドを絞り込む
インデックスファンドの購入は、楽天証券などのネット証券を利用すると、手数料が安いです。
上の4つの資産の中で、具体的にファンドを絞り込みましょう。手数料の安価なものを選択します。手数料負けするのを防ぎ、複利の効果を上げるためです。
手数料には、大きく分けて3つあります。
- 販売手数料
- 信託報酬
- 信託財産留保額
このうち、販売手数料と信託財産留保額は、「なし」の商品を選びます。また、信託報酬は「なし」の商品はないので、同じインデックスに連動したファンドなら、信託報酬が安いものがいいです。
信託報酬も同じなら、純資産が多い方、あるいは、増えている方を選びます。
例えば、以下のようなインデックスファンドが挙げられます。(推奨しているわけではありません。)
- 先進国株式:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(信託報酬率:0.107892%)
- 新興国株式:eMAXIS Slim 新興国株式インデックス(信託報酬率:0.20412%)
- 日本債券 :eMAXIS Slim 国内債券インデックス (信託報酬率:0.1296%)
- 先進国リート:三井住友・DC外国リートインデックスファンド [DC兼用](信託報酬率:0.2916%)
シミュレーション結果
以上の年金額、生活費、投資、娯楽費の前提 からシミュレーションを行いました。
もう一度、前提をまとめると
シミュレーションの前提
下表では、入金をプラス側、出金をマイナス側としています。初期資金2600万円なら、投資信託に投資する場合、92歳まで資産が残ることになります。
投資しない場合は、65歳から資産がマイナスに転じます。
また、投資しない場合で、娯楽費なしとすると、90歳までは資産はプラスになります。
まとめ
- 年金受給額が将来、減っていくことを想定してシミュレーションしたが、投資により、ある程度の娯楽費と老後資金を得ることができる結果になった。
- 投資による20年以上の複利のメリットは大きい。
- 投資信託のリターン(利回り)4%は、現実的な数値。
※:投資は自己責任でお願いいたします。